全日本キック会見(橋)

08.08.25全日本キック会見

昨日の会見で、9.19全日本キック後楽園大会・日本vsタイ5対5マッチの対戦カードが発表された。

大将戦:石川直生vsペッエーク(元ラジャダムナン/オムノーイ/BBTV王者)
副将戦:山本真弘vsコムパヤック(M-1スーパーバンタム級王者)
中堅戦:藤原あらしvsチャートピチット(ラジャダムナン8位/元プロムエタイ協会&オムノーイ王者)
次鋒戦:山本優弥vsサムランチャイ(ルンピニー7位/元プロムエタイ協会&オムノーイ王者)
先鋒戦:吉本光志vsカノンスック(M-1フェザー級王者)

……これは本気のカードだ。攻めのマッチメイクだ。このところ、全日本キックの選手は対抗戦、とりわけvsムエタイで負け続けているわけで(今回の5選手も、じつに4人が前回の試合でタイ人に負けている。吉本は初のvsムエタイ)、そういう状況で5対5をやる。しかも強いタイ人ばっかり集めて、星勘定がまったくできないカードを組む。無謀っちゃあ無謀だが、そこに確かにロマンがある。“全日本キックは、こういうことをやる団体です”という意思表示でもあるんだろう。“今の状況でヌルい勝ちなんかいらねぇっすよ”っていう。もちろん全勝ですよ全勝。この日のために、8月までの負けっぱなし状態、その屈辱に付き合い続けてきたんだと、そう思える大会にしてほしい。まあタメというか振り子理論というか。

カギになるのは序盤戦かなぁ。吉本は過去の日タイ5対5を客席で見ていて「寂しくてしょうがなかったっすよ。ヴァシコバのパンツが光って見えた」そうだ。相手を潰す試合をするために「これまでの自分のスタイルを破壊したい」とも言っていて、この気合いと怖いもの知らずで突き抜けてほしい。逆に優弥はvsムエタイにこだわりがなく、「メインなら別だけど、自分の位置(次鋒戦)なら、まず自分が楽しみたい」。まあ評価は分かれると思うが、優弥は柔道における石井慧みたいな存在になれるんじゃないか。

大将の石川は、この闘いの意味を分かりすぎるくらい分かっている。
「これは連盟やGMからの問いかけ。“キックは大丈夫だよ、全日本キックは大丈夫だよ、オレたちは大丈夫だよ”という試合を見せたい」
「選手も周囲も“タイの現役バリバリが相手じゃ……”という意識がダメなんじゃないか。(相手は)誰でもいいよ、という気持ちでいます」
試練の七番勝負の途中なのに、なんかもう石川は完全に大黒柱。まあかなりグラグラ揺れる大黒柱なんだけども、それも含めて見届けがいがあるというか。

そんな中、会見場で“GBRの中村くんはソフトボールの上野に似ている説”を唱える人がいた。家に帰ってニュース見たら、確かに全体の雰囲気が似てる。てことは上野はNJKFの押炉花者にも似てるってことか。どうでもいいいっすね。

ワンロップvs山本元気(橋)

今さらだけど、日曜日のワンロップvs元気の話を。

あの試合はつまり、ワンロップが凄かったってことだと思う。確かに1Rの元気は動きがよかったし迫力もあった。見ていて“これはいけるんじゃないか”とも思った。でも、結果は負けだ。それも石川戦と同じ、圧力をかけて攻撃しようとしたところにヒジを食らっての出血TKO。そういう試合を見て、いくら1Rがよかったからって“元気は凄い”とは言いたくない。それは元気に対して失礼なんじゃないかとさえ思う。“倒しにいって、それで斬られたんならしょうがない”みたいなレベルの選手じゃないんだから、元気は。いかに斬られずに(ムエタイの術中にはまらずに)パンチで倒すか。そういう闘いを追求してきた彼にとって、今回の試合は完敗以外の何物でもない。1R、猛攻にさらされて、少なからず驚かされて、それでもキッチリ斬って勝ったワンロップが凄かった、一枚上手だったってことだ。

そして重要なのは、元気がもう2年半近く勝ち星から遠ざかっているという事実だ。これまで取材してきた印象でいうと、彼は本当にモチベーションの上がる相手とだけ闘いたいというタイプ。逆にいうとムダな試合はしたくないわけだ。勝ち星から遠ざかっている間、強い相手としか闘っていない。で、そういう強い相手に勝てば、それまでの負けは完全にチャラになる。でも繰り返すが、元気は勝てないでいる。期待感が減らないわけがない。元気が強いことなんて百も承知だけど、もうバクチを打とうにも元手がない状態じゃないか。単純な話、次もまた元気が「タイの強い選手とやりたい」つっても、そう簡単にやらせてはもらえないだろう。

これは個人的な見方でしかないけれど、そしてこういうこと言われるのはイヤだろうなと分かってて書くんだけど、今の元気は石川にだいぶ差をつけられていると思う。直接対決の結果だけでそうなったわけじゃない。自分にとってやりがいのある試合だけを選んできた元気と(それはそれで大変なことだけども)、しんどいことやめんどくさいことも背負って闇雲に闘って、課せられたハードルを必死で越えようとしてきた石川。どっちがエースにふさわしいかといったら、それは石川だろう。まあ元気はエースになろうと思ってないのかもしれないんで言い方を変えると、元気は強い相手と闘ってきた。石川は状況とも闘ってきた。で、その“闘ってる度合い”は、石川のほうが上なんじゃないか、と。

いや、べつに元気を責めようって話じゃないんだけども。つまり元気にも“試練の七番勝負”的なことが必要じゃないか。モチベーションの上がらない相手とあえて闘って、考えに考え抜いてテーマを見出して、勝って当然と思われるような相手を無理やりねじ伏せて。そういうことをする元気の姿が、今は見たい。マジメな話、元気vs赤羽とか凄く見たいけどね、オレは。

ちゃんこ(橋)

7.21シュートボクシング後楽園大会パンフレットの打ち合わせでシーザージムに行ってきた。ちょうどプロ選手の昼ごはんタイムってことで、オレもちゃんこをご馳走になる。道場でちゃんこ食べながら選手と語る……昭和のプロレス記者みたいだ。
今日のちゃんこ担当はタイ人トレーナーのダムさん。具は豚肉に大根、キノコ類と和風だが、味付けはトウガラシがきいたピリ辛で、固めに炊いたご飯と合うんですなぁこれが。

で、何が言いたいのかというと、普通はここで食事風景の写真を撮っとくもんだろう、ということ。「美味い美味い」言って食ってただけのオレはブログとか向いてないわけだね。

EURO、そしてパッキャオ(押)

お久しぶりです! "!"というほど元気はないんスけど。
なにしろ、きょうは人身事故が多かった。7月になったとたん、コレかね。
やっぱり今の日本の息苦しさは並大抵じゃない。

さて、自分にしては意外にもEURO2008をそれなりに観た。
やっぱりヨーロッパで行われるサッカーにはあらゆるスポーツがかなわないスケール感がある。
自分がぼんやりといいなあと思っていたのはスペインとロシア。
準決勝ではなく、決勝で闘ってくれと思ってはいたのだが。しかし、現実にそうなってもスペインの圧勝は変わらなかっただろう。ロシア戦での(決勝のドイツ戦でもあったけど)パス回し、アレはロシアにとってはショックだろうな。
どんなボールゲームでも共通しているとは思うが、どんなに追っかけようが遊ばれるようにパスを回されるのって屈辱でしかないもの。
まあ、ボールタッチがほんとに力が抜けていていることといったら。ブラジル人たちもこのぐらいのことは個人的能力として持ち併せている。しかし、チームとなったとき、自己主張がほどよく消えてこれだけつながるかというと、また別の問題だろう。
 
これと同じ感じで「遊んで」しまったのが、マニー・パッキャオだ。この間、アジア人初のボクシング3階級制覇をやりとげたと思ったら、WBCライト級を獲ってあっと言う間の4階級めの戴冠。
試合はパックマン、あんたスゴいよ! といいうしかない展開だった。
なにしろ、相手はずっとライト級で闘ってきて、逆転を得意とするデビット・ディアスだ。
ガッチリしているし、そう簡単にはとらせてはもらえない、という予想もあったのだが、なんのことはない、まるで新人ボクサーにレッスンしているような、すべてをやりまくってのKOだった。
左の大砲で倒すことが本領とされるパッキャオだが、手あかがついてるけど「ファンタジスタ」いや、もっと手あか感がある「変幻自在」という表現をあえて捧げたい、そんな戦い。
芸術ですよ、タイ語で「シンラバ」?
スペインのサッカーに似てたなあ、まあ、もちろんフィリピン人はスペイン的な感性に影響
されているわけだが、

次の対戦候補として、エドウィン・バレロ(帝拳)が上がっているという。
バレロはスーパーフェザーがかなり体重的にキツくなっているから、WBA王座を返上してのライト級の戦いはかなり、いいコンディションでのぞめるんじゃないか。
スリリングさでは、特にバレロをよく知る日本のファンにとっては最上のものだろう。

実現したら‥ラスベガス行くしかないか!



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ヤングシーザー杯(橋)

明日はSB新宿FACE大会。若手興行ではあるが、いい選手いっぱい出ますよ。特に伏見和之(17歳)と島田洸也(20歳)のシーザー力道場コンビは今後、伸びてきそう。シーザージム裏のバー『DORAS』のマスター・中森さんは今回で引退試合。いいミドルもってるんでラストマッチを勝利で飾ってもらいたいところ。
あとセミの梅野は、去年のヤングシーザー杯でMVPを受賞した選手。今回がシーザージムに移籍しての第一戦で、80kg以上で闘ってたのに今回は72kg契約だ。本格的に格闘技に打ち込むべく上京、シーザージムに入ってみたら、それまで走りこみも減量もしてなかったことが発覚(それでも戦績は3戦3勝、伊賀にも勝ってる)。厳しい先輩に囲まれて見る見るやせていったらしい。ここでワンクッション入れて今後は70kgで闘うということもあり、つまり緒形、宍戸に続く将来のエース候補ですよ。なんか急に若返ってるなSB。
去年くらいだったか、森谷広報が「やっとウチの若いのにも、スパーでやられてトイレで悔し泣きするようなヤツが出てきたんですよ」と言っていた。センスがあるとかそういうことより、トイレに隠れて悔し泣きするような人間の方が見込みがあるってことだ。なんか分かるな、その感覚。

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6.22全日本キック(橋)

土曜日のシュートボクシング新宿FACE大会のパンフ作ったり、Number(7/4発売)の原稿書いたり、kamipro Handのコラム書いたり、なんか頭クラクラしてぶっ倒れたりしてたら水曜日になってしまいました。

で、遅ればせながらではあるが、6.22全日本キック『野良犬電撃作戦』のことは書いておかなくちゃいかん。これはもう誰もが言ってることだけど、凄まじい盛り上がりだった。休憩後は日本勢がムエタイ軍団に3連敗を喫したわけだけど、インパクトを残したってことは興行が成功したってことだ。

特に石川vsカノンスック。石川がこの試合で負けるっていうのがもう……。悔しいとか残念とかじゃなく、その事実の重さ、大きさそれ自体に圧倒された。キックに限らず、スポーツに限らず、もう興奮のあまり大げさに言っちゃえば“生きる”ってのはこういうことだよな、と思えた。以前、小林聡の試合を“アメリカン・ニューシネマのようだ”と書いたことがあるが、この試合も同じだろう。

石川は試合後、「全部背負って闘った」と言っている。全日本キックの選手たちが対抗戦で負け続けていること、小林GMプロデュース興行のメインであること、母親の死、それら全部を背負って、石川はリングに上がった。そしてそういう選手でさえも負けてしまうという現実。これは見る側もしっかり受け止めなきゃいけないだろう。

だから石川が母親を亡くした悲しさと、試合に負けた悔しさを重ね合わせたり、敗因をそこに求める(いつもの石川ではなかった、みたいな)のは失礼なんじゃないか。石川は公開練習の時、この試合を「母ちゃんが作ってくれた最後の舞台」だと言っていた。つまり“母親の死を乗り越えて”ではなく“母親の死さえも力にして”闘おうとしたわけだ。無理やり自分に言い聞かせていたのかもしれないけど、そういうふうに考えることができる石川は、キックボクサーとしてかなり高いレベルにいると思う。小林GM言うところの“見られるんじゃなく、見せる”境地に達している。全部背負って闘った、という“全部”の中には“プロとしての業”も含まれているはずだ。

そして繰り返すが、そういう試合で負けという結果が出た。後半の失速は、転倒した際に頭を打ったのが原因らしい。こんな大事な試合で、とてつもなく気合いが入っていて、それでも頭を打ったらフラフラになる。腹を思いっきり蹴られたら立てなくなる。当たり前の、もしかしたらつまらないとさえ言える現実なのだが、それもまた石川が背負った“業”かもしれない。だから見る側に対しての破壊力も大きく、心に突き刺さるものがある。

もちろん、敗北は敗北であって、それ以上でも以下でもない。こっちとしても“価値ある敗北”とか“この悔しさをバネに”とか、そんなこと言いたくはない。ただ一つ書いておきたいのは、“全部背負って”闘って、そして負けるなんていう経験は並の選手にはできないってことだ。全日本キックでいえば、そういう経験をした選手は小林聡以降いなかったと思う。ちょっと言い方が難しいが、石川には、小林以降誰もしてこなかった経験をするだけの資格があったのだ。

いや、凄い試合を見せてもらった。勝ったカノンスックの底力も見事だったが、それ以上に石川が背負ったキックボクサーとして、プロとしての業に恐れ入った。立川談志は落語家を“作品派(代表例は桂文楽)”と“生き様派(代表例は古今亭志ん生)”に分けていて、明らかに“生き様派”を志向している。この分類は、あらゆる表現者に共通しているはずだ。そして石川は、今回の試合でキック界における“生き様派”の代表格になったのだ。

石川&優弥公開練習(橋)

08.06.11石川・優弥公開練習

今日は青春塾で、6.22全日本キック後楽園大会に向けての石川直生と山本優弥の公開練習。まあ詳しいことはGBRなり公認サイトなりを読んでいただけれれば。二人ともモチベーション高いですよ。
優弥はGMと取材で同席するのは初めてらしく、やたらと緊張していた。はいてるトランクスは以前、サムゴーが試合で着用していたもの。「サムゴーからもらった人にもらった」とか。これも意気込みの表れか。「お前をはいてやる!」っていう。どんな意気込みだそれ。

それとオープニングファイト第1試合も注目ですよ。布施一行vs佐藤大輔。“布施さんが全日本のリングに!”“佐藤大輔、GAORAにも!”って、それだけなんだけど。ちなみにオレの知っている“佐藤大輔”は、これで3人目。もう一人はイトコ。それもどうでもいいすかね。

最後に、水野晴郎先生のご冥福を慎んでお祈りいたします。たしか去年だったと思うが、試写室のロビーでなんかオレのこと見てる人がいるなぁと思ったら、それが水野先生だった。生涯の自慢ですよ。あのとき、きちんと挨拶してれば……。遺作(出演)が『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』(本来は“危機一髪”のところを“一発”にしたのは007のサブタイトルが最初で、それを考えたのが宣伝マン時代の水野先生だったと思う)、最後に見た映画が制服警官が大活躍するポリスアクション・コメディ『ホット・ファズ』だったというのは、凄くいい話だなぁ。

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構成員1:押切伸一
(おしきりしんいち)
格闘技番組『SRS』などの
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構成員2:橋本宗洋
(はしもとのりひろ)
格闘技を中心に活動中のライター。『kamipro』等に執筆。

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