オトコ泣き映画の決定版『相棒ーシティ・オブ・バイオレンス』について、まむしの兄弟が語っています。
これは、『UPPER CLASS』に連載している
「シネマ男の星座」からの転載です。
監督のリュ・スンワン(写真)はスタントなしでとんでもない
アクションを演じていますが、公式サイトの映像を観れば、
男子だけでなく、女子も観たくなることでしょう。
いま、こういう映画を撮れる日本の監督がいればいいのに、と思いますが。
では、下の「読むべし読むべし」をクリックしてどうぞ。
橋本 『相棒』は韓国映画の勢いを改めて思い知らされる映画でしたね。
とにかく濃厚。役者がみんな昭和のパ・リーグみたいな顔(笑)。
押切 平成の日本にはないコクがあっていいんだよなぁ。
中盤のアクションシーンで、高校生軍団が出てくるでしょ。
ブレイクダンサー兼カポエラ使いとか、武器持ったコギャルとか。タランティーノの影響も
あるんだろうけど、“若者風俗=敵”っていう感覚がもう昭和だよね(笑)。
橋本 ストーリー自体も、よくある話ではあるんですよね。ソウルで刑事をやってる主人公が、
故郷で起こった旧友の殺人事件を超法規的に捜査していく。
日活アクションでもVシネマでも香港ノワールでも「そういうのあったよね」みたいな。
押切 ベースとしてはそうなんだけど、単純な勧善懲悪じゃない。
登場人物みんなが、やむにやまれぬ理由で悲劇に突き進んでいくんだよ。
それと韓国ならではのメンタリティが込められてるんだよね。
例えば回想シーンで主人公たちの青春時代が出てくるでしょ。
ヘビ酒を漬けて「20年後、偉くなったらみんなで飲もう」って。
橋本 ヘビ酒って(笑)。普通はウィスキーとかですよねぇ。
押切 韓国の人って“精がつく”って聞くとたいへんな反応を示す傾向にある(笑)。
そういう細かいポイントがいちいち面白い。ブレイクダンスも、実は韓国ってコンテストでは
世界有数の強豪国なんだ。ムチャな技やるから(笑)。
橋本 もう一人の主人公、刑事の相棒であるチンピラがしがない教師の兄を
「ダメ兄貴!」ってなじるじゃないですか。自分はチンピラなのに。
押切 昔の日本のように長男で家はつながっていくという考えが強いだけに、
なじられているということは相当なんだ、と韓国の客は理解するんだろうね。
橋本 アクションシーンも韓国ならではですよね。
テコンドーの足技主体。カカト落としと飛び後ろ回し蹴りが出てくる回数は
映画史上ナンバー1じゃないですか(笑)。もちろんドロップキックもやってるし。
押切 口より先に手が出る。手より先に足が出る。
『絶対の愛』(美容整形をモチーフにした韓国映画)も前蹴りが出てくるし。
それにドロップキックって捨て身技でしょ。
たぶん韓国の人って、肉体の頑丈さに対する信頼が日本人とはケタ違いなんだよね。
橋本 ラストのバトルでも、主人公二人がありえないくらいの大人数と闘うじゃないですか。
ハリウッド映画なら“頭を使って切り抜ける”なんだけど、『相棒』は“正攻法で闘う”ですからね。
押切 とにかく頑張って倒す(笑)。その方が見てても燃えるよ。
で、主人公コンビは敵が増えると嬉しそうなんだよね。
「まいったなぁ、こんなご馳走がいっぱい」みたいな顔してる(笑)。
橋本 あの大乱闘はホントに必見ですよ。
細かいカット割りとか、天井カメラでパノラマ的に見せたり演出が凝ってて泥臭くないのもいいですし。
押切 香港はもちろんタイ映画に韓国と、格闘シーンに関してはアジアが世界をリードしてるよね。そう考えると、「どうしてこういう映画を日本で撮れないかな」とも思うよね。
もちろん三池崇史とか、頑張ってる人もいるんだけどさ。
橋本 日本映画はファミリー向け、カップル向けが主流ですからね。
メインストリームで『相棒』みたいな男が燃える映画は作れない。
押切 去年、日本では邦画の興行収入が洋画を抜いたんだけど、質や幅の面では喜んでられないよ。
橋本 監督のリュ・スンワンは「キック技が撃てない監督に映画を撮る資格はない!」とまで
言ってますからね。極論すぎるけど、こっちは全面的に大賛成ですよ!
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